いつまでもゆったりと座っていたいお庭空間

□ご相談内容
お庭を利用することがなくなって来ているので、リフォームをしたいとご相談に来られました。

□ご要望
①最近庭を利用していないので、なにか活用方法を提案してほしい。
②目隠しは必要である。
③ローメンテナンスのお庭にしたい。
□コンセプト
「外部への向き合い方を考える」

□ご提案内容
今回のリフォーム相談の中で、お庭をご家族で利用する機会が少しずつ減ってきていたというお話がありました。
つまり色々なご要望の奥にある思いはきっと、「ご家族で一緒にちょっとしたことを楽しめる空間、ライティングが素敵な非日常的な空間などを楽しみたいので、そんな空間がリビングのそばにあったらなあ…」 なんだと直感しました。
屋外でありながらもリビング性を高めることによって、リビング、ダイニングから違和感なく流れるようにテラスに出ることができる空間にしました。
また、建物の形状から、少し奥行が狭くなる空間もありますが、ここも緑の力を使ってウチから眺めて楽しめるようにしています。



いつまでもゆったりと座っていたいお庭空間にするためには、いろいろな問題を一つ一つ解決していかなくてはいけません。
プライベートな空間を邪魔するものの排除です。
お庭のすぐ前には主要道路があり、子どもたちの通学路にもなっていました。
もともとの壁は縦格子フェンスが部分的に設けられており、光が差し込み庭先も暗くならない工夫がなされていましたが、プライベートな空間には音の反響や目線といったものは大敵となります。
「外部からの視線が無い」という状況が安心感を引き出してくれます。
そこでもともと開口部であった箇所は塞ぎ、アイキャッチとなる石張りとアンティーク風照明を配置しました。以前からそこにあったというふうな仕上げにすることで、いかにも塞ぎました!という対応にしない配慮です。


受け取る視界の見え方は立った時と座った時では印象が変わります。
今回はベンチを創作していますので、このベンチはまずは座りたいと思えるように訴え、座るとずっと座っていたいと思ってもらえることがポイントになります。
そのためにはただベンチが存在するという見え方でなく、ある配慮が必要となります。
フォーカルポイントのように、まず植木鉢や樹木、樹木の曲がりの枝、照明器具、ファニチャーといったところに視線が回遊するようにし、視線がお庭空間に留まる必要があります。そしてベンチが視界に入ってくる必要があるのです。
また、いくら良い空間でも日差しが強かったら出たくなくなります。しかし朝の柔らかい日差しは欲しくなります。
わたしがデザインをする際、出来れば屋根を設置するのではなく必要な時に遮光できる設備であるオーニングやシェードといったものを上手く利用したいと思います。
住所:奈良県王寺市
施工面積:約12坪
施工期間:約50日
デザイナー:梅原耕作
スペシャリスト:オクダ造園土木